2021.05.21
摂食・嚥下については3回にわたってお話します。
まずは基礎知識についてです。
摂食・嚥下とは何のことかわかりますか?
食べ物を認識し口に取り込み、咀嚼して胃へ送り込むこの一連を意味します。
摂食(せっしょく)=食べること
嚥下(えんげ)=飲み込むこと
と説明するとわかりやすいかもしれません。
摂食・嚥下の能力が低下すると、誤嚥性肺炎をおこす可能性が高くなります。
なぜ誤嚥性肺炎に繋がるのか?
食べ物や水分が、本来の通り道である食道ではなく気管に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)と言います。
食べ物や水分など以外にも、自分の唾液・逆流した嘔吐物・歯周病などの口腔内細菌でも誤嚥に繋がります。これらの誤嚥したものが肺に入り炎症を起こす事で誤嚥性肺炎を引き起こすのです。
誤嚥は、嚥下機能に障害があると起こりやすくなります。
むせない誤嚥がある
むせることで、誤嚥したものを外に出せていると思って安心したいところですが、誤嚥の判断はご家族やご本人であっても気づかない場合が多いのも事実です。
感覚の低下により起こりやすくなるもので、日常的に自身の唾液で誤嚥をしている方もいます。
チェックポイント
- 残ってる感じがしているのにむせが出ない
- むせが出る、長くむせ込んでしまう
- 口の中に溜め込んだまま飲み込みに時間がかかる
- よく微熱を繰り返す
- 一回の食事で1時間程かかる
- あまり食べようとしない
- 口に食べ物や水を含んだまま溜め込んでしまう
- 飲み込んだ後も口の中に食べ物が残る
- 口の中が乾燥している
- 唾液が飲み込めず口から溢れる
- 痰が出せずにゴロゴロしている
簡単にできる嚥下機能テスト
口に何も含まずに唾液をゴックンしてみて下さい。
30秒の間に3回以上できると◎
30秒の間に2回以下だと注意が必要です。
特に男性は喉仏の上下が筋力低下により衰えていきます。飲み込む時にしっかり上下しているか目で確認してみましょう。
男性と女性でも日常的によく会話をしたり、歌う事が好きな方は筋力アップに繋がるので、良い習慣と言えるでしょう。
嚥下しやすくするひと工夫
○ごはん→柔らかくしたものやおかゆ(口に食べ物が残る人は、散らばるごはんよりおかゆが◎)
○パン→牛乳やスープに浸したもの(そのままのパンは乾燥していて飲み込みにくくなってしまいます)
○麺類→柔らかく煮て短くカット、スプーンを使う(すする、は誤嚥しやすい食べ方で注意が必要です△)
○野菜→柔らかく調理し、皮や繊維がしっかりしたものは取り除く。あんかけにしてトロミをつけるのもおすすめ(いろんな食材を一度に口に入れないように、一種類の食材を一口ずつ食べましょう。混ざっている場合はスプーンで少しずつ)
○肉や魚→焼きすぎると硬くなるので、筋切りをして脂の多い食材を選びましょう(中々飲み込めない人にはあんかけにしてスプーンを使ってみて下さい)
○卵→半熟にしたり、茶碗蒸しも良いでしょう(固茹でしたゆで卵はパサつき散らばるので注意が必要です△)
○汁物→お味噌汁やスープの具をたくさんにしない、とろみをつける、すすらないようにスプーンを使う(固形物と水分が同時に口に入ると、喉に落ちるスピードが違うので誤嚥しやすくなります)
○フルーツ→糖分も水分もとれますが、実は少し注意が必要な食材。繊維と果汁(さらさらの水分)を一緒に口に入れる事になるので、絞って果汁にとろみをつけるなど工夫の仕方に一手間必要です。(缶詰などを使いゼリーにすると飲み込みやすくなります)
食事にかける時間は?
一口量に注意!スプーンの場合、一口量はティースプーンくらいが目安です。
一口量を小さくすると、必要なカロリー数を食べて欲しくても時間がかかりますよね。
一口量が多いと飲み込みきれない食材が残ってしまい、誤嚥のリスクは上がってしまいます。
一回の食事時間の目安:30分程度
一口量も小さくし、食事時間も短くする為には
食べやすく加工するのも大切ですが、今では気軽に介護食や高栄養なものが手に入りやすくなりました。
ドラッグストアでも手に入るような、パウチになっている加工食品も自分に合ったレベルのものを食べる事が大切です。(舌でつぶせる、かまなくてよい、など)
○ネスレ アイソカル
https://nestle.jp/nutrition/product/isocal/
○クリニコ ハイカロリーゼリー
https://www.clinico.co.jp/products/series/assistance/chiisana.html
○ブイ・クレス ハイプチゼリー
https://www.nutri.co.jp/house-user/picup/07.html
○アマノフーズ
https://www.amanofd.jp/amano/shop/goods/?ggcd=B505
○キューピー やさしい献立
https://www.kewpie.co.jp/udfood/
○ヘルシーネットワーク はつらつ食品
https://www.healthynetwork.co.jp/sp/
○日清 MCTオイル
https://www.nisshin-oillio.com/products/goods/list.html?category=29
○吉野家
https://e-shop.yoshinoya.com/shop/c/c78/
○キッセイ のみや水
https://healthcareinfo.kissei.co.jp/product/nursing/product_0089.html
○エバースマイル とろみ飲料
https://www.ever-smile.jp/drink/
○ハートフルフード おいしく麦茶
https://shop.heartfulfood.jp/shop/g/gI10097/
ごはんやおかずを一口食べた後にとろみがついた飲み物を一口飲むと、スムーズに飲み込みやすくなります。
ただ、とろみの調整は時間が経つととろみ具合も変わってしまう為難しく、もともととろみがついている飲料は取り入れやすいですよね。
ほんの一例ですが、介護食も最近では美味しいものが増えてきました
ひと工夫で毎日のお食事をより安全に、楽しく過ごして下さい。