2021.05.11

「リハビリテーションについて学ぶ」の最終回です。

前回に引き続き、各疾患・各分野の具体的なリハビリテーション方法についてみていきたいと思います。

【心臓リハビリテーション】

心臓リハビリテーションとは、「心臓疾患患者が、医学的な評価に基づいて、運動療法・患者教育・カウンセリングなどを通して、身体的・精神的・社会的に回復するプログラム」とされています。

その目的は、「予測される余命(生命予後)を伸ばしたり、生活の質(QOL)を向上させる」ことです。対象となる疾患には、狭心症、心筋梗塞、心不全、心臓弁膜症、先天性心疾患、不整脈、心筋炎などがあります。

 

「心臓疾患があっても運動していいの?」

心臓疾患治療後は安静(臥床)にしてもらうという方法が一般的だった時代もありましたが、現在では、他の疾患と同じように、心臓疾患後でも早期リハビリテーションが重要とされています。心筋梗塞治療後や心臓手術後でも、翌日から離床してもらう施設もあります。「心臓が悪いから運動をしてはいけない」のではなく、むしろ「心臓が悪いので運動をしたほうがよい」という考え方に変わりました。


「具体的な運動内容は?」

有酸素運動とレジスタンス運動の2種類があります。


以前は、レジスタンス運動は心臓疾患には禁忌とされていましたが、それは血圧の上昇や心不全増悪、不整脈出現の危険性が高いと指摘されていたからです。
しかし現在では、低負荷のレジスタンス運動は安全性が示されており、
心臓リハビリテーションのガイドラインにも低負荷のレジスタンス運動を行うことが明記されています。

有酸素運動が酸素摂取量という持久力の向上につながるとすると、レジスタンス運動は筋力向上や筋代謝の改善に有効です。両方の運動療法を上手に組み合わせることで、運動療法の相乗効果が期待できます。
どちらの運動も長く継続していくことが必要です。
大切なことは、心臓疾患がどういう状態であるかを把握し、現在の運動能力がどのくらいあるか(適切な運動範囲はどれくらいか)を評価し、それに見合った内容の運動を継続していくことです。
そうすることにより心臓疾患があっても元気に長生きをすることができるようになります。
介護(予防)サービスには、様々な運動のためのサービスがありますので、介護保険の認定を受けている方はそれらのサービスも上手に利用して、運動をする機会をつくりましょう。

【呼吸リハビリテーション】


「呼吸リハビリテーション」と聞いてもピンと来ない方が多いかもしれません。
その目的は、「日常生活を送るために必要な基本動作を、息切れなく楽にできるようにする」ことです。

対象となる疾患には、COPD(慢性閉塞性肺疾患。原因は主に喫煙。)や間質性肺炎、肺結核後遺症、肺がん、肺炎、呼吸状態に影響のある神経筋疾患などがあります。

 

「具体的には何をするの?」

具体的には下記のような内容になりますが、身体的なものから精神的なものまで多岐に渡り、科学的な根拠に基づき、多くの職種の人が様々な働きかけを行います。
・腹式呼吸の練習
・口すぼめ呼吸の練習(唇を軽く閉じ、口からゆっくりと息を吐く)
・胸郭可動域練習(胸郭ストレッチ)
・呼吸筋ストレッチ
・痰の出し方を覚える
・上肢筋トレーニング、下肢筋トレーニング
・持久力トレーニング(歩行練習や足踏み)
・薬物療法
・酸素療法
・栄養補助指導
・パニックコントロール(息切れコントロール)


患者さんの最大運動能力の50~70%程度の運動強度で、
1回20~30分、週3~5回を目標にします。


息を“吐くとき”に体を動かすのがポイントです。
呼吸は「吸うとき」にエネルギーを消費しますので、「吐くとき」に体を動かすと、楽にできます


「どういう効果があるの?」

呼吸リハビリテーションにより見込まれる効果としては、
「呼吸困難感の改善」
「ADL(日常生活動作)の改善」
「運動耐容能の改善」
「入院日数減少」
「医療機関利用回数の減少」
「生命予後の改善」

などです。


しかし、リハビリテーションで改善した運動能力は、半年もすれば元に戻ってしまいますので、リハビリテーションはこつこつと続けていくことが重要です。
慢性期だけではなく、急性呼吸不全の場合にも呼吸リハビリテーションは行われます。
他のリハビリテーションと同じで受傷早期(72時間以内)からの介入が重要で、集中治療室でも呼吸リハビリテーションは行われます。
集中治療室に入ると、筋力や運動などの身体機能だけではなく、記憶や判断力などの認知機能も低下すると言われていますが、呼吸リハビリテーションを行うと、離床が早まることを通して、それらの防止になります。
そしてICU滞在日数減少や入院日数減少、死亡率低下にもつながることが期待されます。


ここまで、
・脳卒中のリハビリテーション
・運動器リハビリテーション
・心臓リハビリテーション
・呼吸リハビリテーション

についてみてきました。


他にも、摂食嚥下のリハビリテーション、緩和領域のリハビリテーション等がありますが、これらは、別の記事で取り上げていきます。

【まとめ】


「受傷早期」からのリハビリテーションが重要
受傷早期から始めることで、より大きな機能改善が見込める。
◎リハビリテーションは継続が大事で、途中でやめると身体機能はまた低下してしまう。


現在の身体機能がどれくらいかをきちんと把握し、無理のない範囲でリハビリテーションを継続していくことが、元気に長生きする秘訣です。

 

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